借入申込数は想定の3倍!金融は顧客の願いを叶える手段。リースバック×貸付で目指す金融包摂

導入事例:ガレージバンク株式会社様

目次
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ガレージバンク株式会社 代表取締役 山本 義仁氏(左)、GeNiE株式会社 代表取締役社長 齊藤 雄一郎氏 (右)

求めていたサービスだった

個人の資金調達ニーズ解消を後押ししたマネーのランプの提供を実現したマネーのランプ

ガレージバンク株式会社が展開する、モノの価値を資金化できるサービス「cashari(カシャリ)」。2024年12月、「cashari」に貸付サービス「cashariマネー」が加わりました。その裏側には、GeNiEが提供する組込型金融サービス「マネーのランプ」の存在があります。
今回は、ガレージバンク株式会社 代表取締役 山本義仁氏と当社代表取締役社長 齊藤雄一郎に、「マネーのランプ」導入の裏側から今後の展望まで、話を聞きました。

ガレージバンクを立ち上げられた背景を教えてください。

山本: 新卒で銀行に入行し法人営業を5年間担当したのですが、その中で感じたのは、法人向けにはさまざまな融資手法があるのに対して、個人向けには選択肢が限られていることへの違和感でした。個人向けにも法人と同様に柔軟な金融サービスを提供したいと考えるようになりました。
「cashari」のビジネススキームであるセールアンドリースバックに着目したきっかけは、大学時代の友人が家業として質屋を営んでいたことです。質屋は室町時代から続く金融サービスで、モノさえあれば利用できる間口の広さがあります。ただ一方で、利用者は高齢者が中心で、20代・30代の若い世代には認知されていません。モノの価値を活用した金融サービスを、若い世代がもっと利用しやすい形にしたいと思い、ガレージバンクを立ち上げました。

所有する資産を売却すると同時に、賃貸借契約を結んで資産をリースする取引

「マネーのランプ」の導入を検討されたきっかけはなんでしょうか。

山本: 元々「cashari」に貸付機能を追加したいと考えていました。リースバックはモノが資産として存在して初めて成立する仕組みですが、モノの価値を過大評価するわけにもいかず、調達希望金額との間に乖離が生じる場面がありました。「もう少し査定額は増えないのか」「モノがなくても資金調達できないか」といった声を多くいただき、そのニーズに応える方法を探していました。
実は、2021年には貸金業務取扱主任者も取得して、自分たちで貸金業を始めようと考えていた時期もありました。ですが、自社で貸金業ライセンスを取得して運営するのはコストやリスク面のハードルが非常に高く、短期的には採算が取れないと判断しました。ユーザーの声には応えたいけれど、自分たちのお財布には限界がある。そこにずっと歯がゆさを感じていました。
そんな中で「マネーのランプ」に出会い、まさに求めていたサービスだと感じましたね。もちろん、後払いチャージなど、貸付と同じような効力のあるサービスはゼロではないですが、「cashari」を拡張できる金融サービスは貸付だと思っていたので、それを実現できるのは「マネーのランプ」しかないと思いました。

ユーザーの利用がリースバックではなく借入に偏ってしまう懸念はありませんでしたか。

山本: もちろん自社競合になることはあると思いますが、最も大事なのはUX(ユーザー体験)だと考えています。たとえば「20万円必要だがリースバックでは10万円しか調達できない」といった場合、残りの10万円を調達するための別の手段を提示できる方がユーザーにとっては親切ですよね。金融サービスはユーザーにとって道具でしかありません。ユーザーの選択肢を増やして、道具としての価値を高める方が、サービスの価値やLTV(顧客生涯価値)の向上につながると考えています。

齊藤: 人の信用力を可視化する貸付と、モノの価値を可視化するリースバック。この二つの円の重なりは確かにありますが、重なりよりも、円の面積が広がることの方が意義が大きいということですね。ユーザーが状況に応じて自分で選べる金融サービスを一緒に作り上げていきたいです。

導入初月の借入申込件数は想定の約3倍!
確信したユーザー体験の向上

「マネーのランプ」の導入プロセスで印象に残っていることはありますか。

山本: 導入して終わりではなく、その先のステップまで議論できたことが嬉しかったですね。まずは親和性を検証し、次にcashariとの補完関係を設計し、最終的には統合的な与信モデルへ、という青写真をともに描くことができました。ビジョンが一致していると強く感じましたね。
加えて、導入の容易さやスピード感に驚きました。通常、金融機関とのやり取りは、Slackの申請やメッセージのやりとりがスムーズに進まないことも多いですが、非常にスムーズに進行できた点が印象的でした。スタートアップマインドをお持ちで、非常にありがたく思いました。

「cashariマネー」リリース後の反響や効果はいかがでしょうか。

齊藤: 初月から多くの方にお申込みいただきましたね。

山本: はい、これまでリースバックだけでは応えきれなかったユーザーのニーズに、もうひとつの選択肢を提示できたことが嬉しいです。そして、そのニーズに応えられたからこそ、プラットフォームとしての価値をユーザーにしっかり提示できたと感じています。「cashariマネー」の利用は、当社のロイヤルティ向上にも寄与し、LTVの向上にもつながると予感しています。さらに、申込状況や通過率といったデータを通じてユーザーの解像度が上がったことも、大きな収穫でした。

齊藤: 初月は想定の約3倍のお申込みをいただき、cashariブランドで個人向けローンを提供することで、底堅いニーズがあること、そして親和性を確認できました。次のステップに向けて、ユーザーの動向を分析し、双方の与信やマーケティングに活かせないか議論を進めています。

今後GeNiEや「マネーのランプ」に期待することを教えてください。

山本: 将来的には、決済サービスなど、より幅広い金融サービスの展開をご検討いただけると非常にありがたいです。

齊藤: 現在は提携先を増やし、業界ごとのニーズの確認やベストプラクティスの創出に注力していますが、実はすでにプロダクトの拡充に向けて準備も進めています。パートナーの皆さんの声を反映しながら、より多くの価値を提供できるよう、引き続き取り組んでいきます。

より多くの人が公平に金融サービスを使える社会を目指して―。一人ひとりに寄り添った金融サービスを

「cashari」を通じて叶えたい世界観を教えてください。

山本: 「金融包摂」という言葉が注目されるようになりましたが、まだ本当の意味で誰もが金融サービスを自由に使える状態にはなっていないと思っています。生活の中にはもっと多様な価値があるはずで、私たちはその価値を“モノ”の側から見つけ出し、金融につなげていくことで、より多くの人が公平に金融サービスを使える社会を目指しています。たとえ手元にお金がなくても、「cashari」を通じてモノの価値を使って資金調達できるという新しい金融のあり方を広げていきたいです。
将来的には、人・モノ・お金が自然につながる仕組みをつくりたいと考えています。個人でも企業のように、自分の「資産」や「キャッシュフロー(お金の流れ)」を見える化できるようになれば、より多くの人に寄り添った金融サービスを届けられるようになるはずです。

すべての人々が経済活動のチャンスを捉えるため、また経済的に不安定な状況を軽減するために必要とされる金融サービスにアクセスでき、またそれを利用できる状況

齊藤: 我々が携わる消費者金融の領域では、人の信用力を数値で可視化しています。一方で、山本さんはモノの価値に着目している。可視化された信用力や価値は、未来の金融の基盤となり、それによってレバレッジが効いた金融取引が可能になると信じています。その段階まで、我々が生きてるうちに到達したいという想いがありますね。

山本さんが思う金融サービスの面白さとはなんでしょうか。

山本: たとえば、一万円というお金の品質は変わりませんが、為替、預金、貸付といった視点によって印象が変わります。この変化こそが、金融の面白さであり、金融包摂の実現にもつながると思っています。金融サービスは、ユーザーが困ったときやアクションしたいときに、その形を変えながらそっと寄り添うことができる。人々のライフスタイルが多様化する中で、今後金融サービスはその変化にどう適応していくのか、これが金融の大きな課題であり面白さだと思っています。

齊藤: おっしゃる通りですね。金融サービスは、毒にも薬にもなるものですから、それをどう設計し提供するかが非常に重要です。どんなサービスが人々にとって本当に良いものかを考え続け、協議し続ける必要がありますね。

山本: 金融機関は、人々の暮らしの変化に適応したサービスを作る必要があります。現代では、多様なライフスタイルが広がり、多岐にわたる職業選択、転職が当たり前の時代になりました。金融機関がこの社会の変化にどう向き合い、柔軟に対応するかが非常に大切です。特定の生活パターンに合わせたサービスではなく、一人ひとりに寄り添ったサービスを提供できるかどうかが、金融機関に問われていると思います。

齊藤: 金融機関自体が変わり続けなければならない。そのきっかけとなるようなプレイヤーでありたいですね。

金融サービスを組み込むことで既存サービスの価値向上が期待できる

最後に「マネーのランプ」の導入を検討している企業へメッセージをお願いします。

山本: 「マネーのランプ」は導入プランが複数あり、コストもかからないので、まずは導入してみることをおすすめします。金融と直接関係がないと思われる領域でも、最終的にはお金に関わる部分が必ず出てくるので、自社サービスのユーザーにどれだけフィットするか検証することが重要だと思います。
差別化が難しい業種や、顧客との関係が一時的になりがちな業種でも、金融サービスを組み込むことで、LTVとプラットフォームとしての価値の向上が期待できると思います。「マネーのランプ」では独自のサービス名で貸付サービスを提供することも可能なので、たとえば返済日などに自社の名前がユーザーの目に触れることで想起と再利用が促され、ひいてはブランドの信頼や愛着にもつながるのではないでしょうか。


ガレージバンク株式会社
2020年設立。アプリ「cashari」を運営し、個人向けのセール・アンド・リースバックサービスを提供。独自の即時査定技術を活かし、所有物を手放さずに資金化する柔軟な資産活用をサポート。モノの価値による新たな金融体験の拡充を進める。